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2017年神戸市予算案

2017年02月19日

2017年神戸市予算案
大型開発復活・公約投げ捨て・住民不在の予算案
格差と貧困をただす神戸市政へ転換を

神戸市が発表した2017年度当初予算案は、下図となっています。当初予算では一般会計が増となっていますが、これまで兵庫県予算だった教職員人件費が神戸市に移管されたものが715億円の増として含まれています。このほか外郭団体貸付金の会計制度変更で184億円の減が含まれているため、実質前年度並みの予算額が確保されています。

 

 

 

子育て二大公約をなげすて
「医療費ゼロ」「待機児解消」先おくり

今年の秋には神戸市長選挙が予定されており、2017年度予算案は、久元喜造市長の任期4年の総仕上げとなる予算です。
久元市長は、4年前の神戸市長選挙では「任期中に、中学卒業まで子どもの医療費ゼロ」「平成29年度末までに待機児童を解消する」など具体的な選挙公約をかかげ、「若い世代が安心して子育てできるまち」をつくるとして当選しました。
しかし、毎年の予算編成では子どもの医療費無料化は先送りにされ、2017年度神戸市予算案でも「特に、幼子を育てている世帯の経済的負担を軽減します」としながら、無料化の予算を提案せず、子育て世代の願いに背を向けました。
保育所待機児童解消でも認可保育所の建設を抑制してきた結果、これまで減ってきていた「待機児童」が2016年度は増加に転じました。新年度予算案では「平成30年度の待機児童の解消をめざす」と先延ばしを表明し、任期中の実現を断念しました。

 

大型開発「復活」を宣言

新年度予算案で久元市長は、震災から22年が経過し「震災で残された課題に一定の目途」がつき「これまで取り組むことができなかったプロジェクトに着手」したとして、大型開発「復活」を宣言。具体的なプロジェクトとして、大阪湾岸道路西伸部の整備、神戸空港のコンセッション(民営化)、都心三宮の再整備をあげました。
大阪湾岸道路西伸事業は、六甲アイランドから長田区駒栄まで海上を中心に14.5キロにわたる橋上高速道路の建設です。総事業費は5000億円で、原則三分の一を地元(兵庫県と神戸市)が負担。これまで過大な交通需要予測とともに地元合意ができておらず事業化が進んでいませんでしたが、安倍内閣で大型公共事業が次々復活する中で、新年度政府予算案では10億円が事業計上(神戸市予算は3億3334万円)されました。
神戸空港事業では、新年度予算案では70億円を計上。神戸市はこれまで神戸空港を「震災の創造的復興事業」として「神戸経済と雇用をふやす」ための事業として推進してきました。ところが関西空港と伊丹空港が「民営化」されたことをうけ「関西経済の活性化に貢献する」ためと、運営民営化(コンセッション)をおしすすめようとしています。これまでの数百億円の借金を分離し、運営のもうけのみを民間にわたすとんでもない計画です。

三宮一極集中で、地域課題の解決に逆行したまちづくり

都心三宮再整備とウォーターフロント整備で54億円が計上されました。昨年11月に5カ年のアクションプランを策定し、民間活力の導入をはかりながら三宮駅前に中長距離のバスターミナルを併設した超高層商業ビルの建設を計画。市長は、事業地づくりに中央区役所や勤労会館、三宮図書館の移転をトップダウンで決めてしまいました。
新年度予算案では、区役所の移転候補地を「年内をめどに検討し、再開発の具体化に大きな一歩を踏み出したい」と調査費を計上するほか、ウォーターフロント地区(新港第一突堤基部)再開発を事業化しました。
一方、都心から少し離れた市街地やニュータウン・郊外地域では少子高齢化で深刻な事態がおこっています。高齢化が進む須磨区や西区の開発団地では、メイン店舗が次々と縮小撤退がつづき「買い物難民」がうまれています。オールドタウン対策で神戸市の関与が必要な時に、団地の中心の公的施設の管理運営を、地域管理に移管して手を引こうとしています。
人口増加する六甲アイランドでは子育て世代が保育園に入れず、電車で何キロもはなれた保育園にあずける事態がおこっています。
神戸市はBRT(連結バス)路線の社会実験で実施しますが、交通不便地域である北区や垂水区ではなく、ポートライナーのある三宮―神戸空港間をはしらせようとしています。
三宮一極集中の開発をすすめながら、地域課題の解決に逆行した街づくりが進められようとしています。このほか、国際コンテナ戦略港湾に113億円、神戸医療産業都市構想で42億円など大型開発・都心プロジェクト偏重の予算となっています。

トリクルダウン政策だのみ
「成長の果実を福祉に投資」が予算の根幹

久元市長は、予算編成にあたって、上記のような「大きなプロジェクト」を政府と一体となって推進し、その「成長の果実を福祉やまちのさらなる成長に投資する好循環生み出す」としています。過去の開発行政の破たんに無反省のまま、大型開発にトリクルダウン政策だのみが、神戸市予算編成の根幹にすえられています。
その背景には、安倍政権の、大型開発と「規制緩和」の、大都市を中心とした自治体への集中・誘導があります。久元市長は、国の政策に歩調を合わせ「神戸に日本屈指のビジネス環境をつくる」として、誘致企業への減税や補助金を拡大する一方、これまで神戸の地域経済を支えてきた中小製造業や商店街などが、仕事や売り上げの減少、高齢化や後継者不足などを理由に次々廃業に追い込まれていることには手を差し伸べませんでした。
国の規制緩和で、神戸で働く雇用者も、多くで非正規化がすすみ低賃金での長時間労働を強いられています。「ブラック企業」「ブラックバイト」と言われる働かせ方が神戸でも広がっています。
しかし久元市長は、こうした神戸市民の実態をよそに、「雇用環境が全体として改善している」「中小企業の人材不足が深刻化しているのは『雇用のミスマッチ』だ」などと、神戸の格差と貧困を根本からただそうとしていせん。
これまで神戸市が独自で行ってきた中小企業施策も、支援機関を兵庫県の機関と統合、神戸市独自の融資制度も廃止してしまいました。

福祉の基盤破壊と「格差と貧困」広げる
事務事業「見直し」

一方、大型プロジェクトなどの施策を積極的に展開するためには「事務事業の見直しが不可欠」と67項目で実施。その影響額は、市民負担増を含め17億円となっています。実態は、不要不急の大規模開発事業の見直しには手を付けず、高齢者や低所得者のためのサービスを廃止しています。
高齢者のための配食サービス助成や日常生活用具給付事業が廃止。社会福祉施設に対しても、賃料補助や借入金利子補給、上下水道料金減免をのきなみ廃止するなど、高齢者福祉を支える社会基盤を壊しています。
さらに、勤労学生や雇用保険受給者など低所得者の市民税減免制度を改悪する一方、誘致大企業に対する市税減免制度は温存するなど「格差と貧困」の拡大に拍車をかけています。
長年の願いが実り高校生など国の奨学金が拡充されましたが、神戸市が独自の奨学金を減額することで、経済的な苦労を背負う学生には国の制度拡充の恩恵が全くありません。
これまで公立保育園や図書館などが民営化され、子育て教育にかかわる大切な施設での公的責任の後退が進められてきましたが、さらに小学校給食の「民営化」に着手するなど、子どもの安心に関わる部分の「民間丸投げ」が進められようとしています。

政府言いなりで公共施設削減
地域経済低迷・衰退に拍車

安倍政権は、「国際競争力」の名のもと、地方自治体に、大企業のもうけのための大型開発と「規制緩和」を押し付ける一方、住民の福祉と暮らしを破壊し、地域経済の低迷・衰退に拍車をかける政策を強行しています。
問題になっているのが公共施設の削減です。安倍内閣は地方自治体に対し、所有する全ての公共施設等を対象に、地域の実情に応じて総合的かつ計画的に管理する計画の策定を求め、神戸市も「公共施設等総合管理計画」を策定しました。そこでは、公共施設を30年で10%削減することをうちだし、これまで行ってきた公共施設削減に拍車がかかっています。公立保育所の民間移管につづき公立幼稚園9園の廃止がすすめられています。市営住宅では7000戸削減する計画により、被災者が入居する借上公営住宅の廃止と転居の強制が進められ、被災自治体である神戸市が被災者である入居者を「提訴」するという事態になっています。
新規建設は極端に抑制され、小中学校では人口増加地域では校庭を削ってたれられたプレハブ校舎に詰め込まれ、少子高齢化がすすむ地域では強引な学校統廃合がすすめられました。中央区では統廃合した学校がマンション建設で過密になる事態に、市長も間違った対応だったと認めるほどの矛盾をひろげています。

市民運動の成果も反映
「三宮一極集中」批判で、地域課題でも

新年度予算案全体は、市長が選挙で掲げた「公約」実現には程遠い内容ですが、一部に市民の粘り強い運動や共産党議員団の議会論戦なども反映されています。
子どもの医療費の無料化の願いは4年連続見送られましたが、新年度予算では所得制限が中学卒業まで撤廃されました。妊婦健康検査助成が助成券制度から無料受診券に替り総額が拡大されます。特定不妊治療費助成の独自助成も拡大されました。
昨年にひきつづき小中学校への学校司書やスクールカウンセラーの配置が拡充されるほか、共産党議員がとりあげた、医療的ケアを必要とする児童生徒支援として看護師は県の拡充は週1回から週5回派遣へと拡充します。
保育所待機児童対策についても前年度700人の定員増が2017年度1200人の定員増を実施。保育所保育料も最高階層とひとり親家庭が改善され、国基準額の70%以下への引き下げとなりました。
子ども・子育て世帯の貧困対策では、困窮するひとり親世帯に対する家賃補助が実現、月1万5000円を最大6年間補助します。
市長は、昨年11月の議会で与野党問わず突きつけられた「三宮一極集中」との批判を受け、「地域の資源や特徴を生かしながら、地域課題に対応したまちづくりを展開する」としています。
地域の住環境改善では、北神出張所が支所になり窓口業務が充実。東灘区深江地区へは図書館サービスコーナーが設置されます。西区では西神中央地域への区役所調査整備に合わせ、西図書館の機能充実が検討されます。
地域交通支援では、神戸の交通ネットワークの将来像を描いた「地域公共交通網形成計画」づくりとあわせ、神戸電鉄の高齢者利用促進パス「シーパスワン」の継続、田園地域におけるコミュニティバス補助制度が創設され、北区での本格運行がはじまります。
地下鉄海岸線の中学生以下の料金無料を社会実験で実施するほか、バス通学する児童生徒の通学費の助成を拡充します。

呼び込み依存やめ、住民を大切にする市政へ

いま神戸市政にもとめられているのは、国の悪政でひろがった格差と貧困の拡大を、自治体の仕事でただすことです。三宮一極集中に見られる呼び込み型の経済や観光政策に依存するのではなく、神戸の今ある資源と特徴を活かして、くらしやすい地域づくりを神戸の隅々にいきわたらせることに全力をそそぐべきです。
日本共産党神戸市会議員団は、神戸に住み、神戸で働き、神戸で子育てする住民を一番に大切するあたたかい市政への転換をもとめ、全力でがんばります。